子どもの行動は、伝えたい想いの斜め上を突っ走っていく。
「持ってってよ!持っていって!」
小さな熊手を片手に娘(小2)が、夫を追い回す。前回の出張土産の熊手だ。
鞄を広げ、出張の準備をする夫にまとわりつく。
「熊手なんていらないよ、勝手に鞄に入れないでよ」
慌ただしく準備する夫に
振り払われながらも、しつこい娘。
拒否されて、どんどん機嫌が悪くなって
暴れ始める。
翻訳こんにゃく
横目で様子を見ていた母、
ははぁ〜ん、娘ちゃん心配なんだな。
「パパ出張なの?明日帰って来ないの?」と尋ねた娘。
「帰って来ないよ〜」
という答えに
何となく顔が曇ってたもんね。
そこで、
夫にまとわりついて熊手を
むりやり渡そうとしている娘に
「娘ちゃん、パパが出張行くから心配なの?
だから、熊手持たせようとしてるの?
だったら、もっと持ちやすいお守り作ったら?」
と言ってみた。
全部のせ
娘は
うんうんうんうんうん
と、
ひとしきり頷いて夫から離れた。
しばらくして
「お守り作ったよ!」
と
コピー用紙で作った
小さなお守りを持って来た。
表には「娘ちゃん神社」と書いてある。
「この中にはね〜海の神と山の神と空の神と土の神とぜーんぶ入ってるんだよ」
とドヤ顔だ。
ラーメン屋の全部のせ、みたいだな…。
神々、狭いとこに集合お疲れさまです。
夫に渡すととても喜ばれ、娘は大変満足げ。
不一致
娘は、
想いを伝える方法を間違えていただけ。
心配で無事を祈る気持ちは、
忙しい人を
熊手を持って追いかけ回しても
伝わらない。
今回は
たまたま通りすがりの親切な人(私ね)が
空回りした想いを掬いあげたけど。
そんなの稀だろう。
いつもそんな余裕ないし。
自分で
想いが思うように
伝わる方法を
考えられるといいね。
少しずつ。
熊手
今、毎日のように
暴れたり、モノを壊したり、
盗んだり、暴言吐いたり、
想いを間違った伝え方する子どもらを
たくさん目にしている。
想いを掬い取りながら
想いを思い通りに伝える方法を
手渡すことの大切さを思う。
現場の保育士や教員や親に
余裕がないと
なかなか出来ないのが
現実なのだけれど。
どこの現場にも余裕がない。
熊手で余裕をかき集められたらいいのにな。
斜め上
「よい土産が見つからない」
という出張先からの夫の電話に
「娘ちゃんは、パパが無事帰ってくればいーよねー?」と訊ねた母。
娘は、おもちゃ片手に
「お土産と一緒に帰ってきて〜」
と答えていた。
美談だけで終わる美談もない。
すべて伝え方だけ。(笑)