梅雨のかさじぞう
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子どもを迎えに行った帰り、
駅を降り立ったら、急に雨が降ってきた。
自分は一本の折り畳み傘を持っていて、それを子どもに差掛けた。
その時、
傘をさしてあげたい人にさしだせる、って有難いな、と感じた。
そして、
突然、子どもの頃から聞き知っていた「かさじぞう」を思い出した。
貧しい老夫婦がおり、正月の支度の為に
おじいさんが、笠を売りに出かけたが、全く売れなかった。
帰り道、おじいさんは、雪にまみれた地蔵に売れ残った笠だけでなく、
自分の笠までかぶせてやる。
すると翌朝、玄関の前には正月を迎えるに十二分な食べ物や宝が置かれていた。
という、良く知られた日本の昔話の一つ。
ずーっと、お爺さんは良い事をしたから、沢山食べ物と宝物をもらったんだと思ってた。
困った人には親切にしましょう、という善行を勧めるお話だと。
でも、
あの、夫婦のところに運ばれてきた宝の山は、
笠をあげたい人に、あげられた、
という、行為そのものの幸福感を表してるのじゃないだろか・・・。
雨に濡れるのが嬉しくて、差掛けられた傘から
飛び出して走っていく娘を追いかけながら
そんなことが
ふと 頭をよぎった。