ことづて、手渡してるんでしょうかねぇ〜?

photo credit: Matt Batchelor via photopin cc

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吟遊詩人見習

洗濯物を干していたら、 末娘(6)が本棚から『工藤直子詩集』を持ち出して

〈てつがくのライオン〉を大きな声で読みだした。

手を休め、そばにいって彼女の朗読を聞いたあとに、

「じゃ、次、ママが若かりし頃に好きだったのを読む読む読むわ〜

読まして〜だいすきなんだもーん、読まして〜」 と大人気なく本を奪い、

〈あいたくて 〉を朗読。

子どもらは

「やれやれ、仕方ないから、まぁ聞いてやるか」というような表情で

半強制的に母の朗読を聞かされる。

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あいたくて

だれかに あいたくて

なにかに あいたくて

生まれてきたー

そんな気がするのだけれど

それが だれなのか

なになのか
あえるのは いつなのかー

(略)

それでも 手の中に

みえないことづてを

にぎりしめているような気がするから

それを手渡さなくちゃ

だから あいたくて

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「嗚呼、いつ読んでもすんばらしぃよね〜。

工藤直子さんの詩は!くぅぅぅーー」

と、自分の朗読した詩に酔いしれて 喋り続ける母。

静かに場を去ろうとする子どもたち。

「いや〜しかし、最近この詩のこと ママ、全然忘れてたな〜

昔はいつも頭にあったのにね。

ってことは、 もう出会っちゃったってことかねぇ?

ってこと??やっぱ、 会いたかったのは、オマエさんかっ!

オマエさんか!オマエさん達だったのかっ!」

とこれまた半強制的に 子どもたちを順番にぐわしっと抱きしめあげる。

子どもらが ギャーギャー笑いながら逃げるのを見ていて、

そーいえば、長女(10)が腹から出てきた時、

小さな手をギュッと握りしめているのをみて、

あぁ、ことづて握りしめてんね、 と感じたのを思い出す。

感傷ふっとぶ

かる〜く感傷にふけりはじめた まさに、そこに

さきほど母の羽交い締めから逃れた長女が戻ってきて

「ふふ〜ん、ママはことづて、手渡してるんでしょうかねぇ〜?」

にやり、と一言。

 

・・・・!

ななな、なんだとーー。

うりゃ〜これがことづてじゃ〜

と再び羽交い締めに入った母でしたが・・・。

 

ことづて、ね‥。

今年は、縁ある方から惜しみなく、ことづて受けとり、

縁ある方に惜しみなく、ことづて手渡していける巡る年にしたいな、と思います。

今年もよろしくお願いします。

 

・・・と、ぢっと手をみる・・・。