劇を観て、親を観る、一粒で二度おいしい?親子狂言鑑賞教室
photo credit: shok via photo pin cc
夏休みの子ども達を連れて、親子狂言鑑賞教室へ。
演目は「六地蔵」と「菌(くさびら)」。
背もたれに、現代語訳の字幕が出たが、長女(8)以外にはちんぷんかんぷん、だったよう。
しかし、主催者が、その動きの面白さで小さな子どもでも楽しめるように選んだ演目らしく、
意味がわからないながらも、息子(6)も娘(4)も楽しんだようだった。
事前に主催者に問い合わせたところ、未就学児童も可、とのことで、周りを見渡すとまだ歩けない子どもを連れたお母さんなどもちらほら。
ロビーでは、狂言面を子どもにかぶらせてくれるコーナーもあり、我が家の「モンキー」息子も猿の面をかぶってご満悦だった。
(他人様にお叱りを受ける)
国立能楽堂という、非日常空間で自然と姿勢も伸びる雰囲気の中、
娘(8)は静かに一言も発することなく観劇。
一方、息子(6)と娘(4)は、
「地蔵、何人いるの~?」
「やまぶし、って誰~?」
「あ、きのこだ!!」
と、役者さんのダイナミックな動きがあると、すぐ反応…。
静かにするように言っても、舞台が盛り上がれば、二人も盛り上がってしまう。
二人は、とうとう、休憩時間に前の席の方から、
「静かに!静かにみなさいね!」とお叱りを受けた。
親に怒られるのは慣れている子どもらにも、多少、響いたようで、
他人様にお叱りを受ける、という機会があるのは有難いことであるよ、と思う一方、
未就学児も含めた子ども達に、狂言の面白さを知ってもらおうという、企画であるから
申し訳ないけど、少々大目にみてもらいたいな、とも感じた。
演目に関係ないことで騒いでいるのではなかったから。
この問題は、観劇会の企画意図と、対象年齢をもっとはっきり明記すれば、簡単に解決することかもしれないのだけれど。
(劇を観て、親も観る〉
前の席は、小学校高学年くらいの子ども一人とご両親だったので、とても静かだった。
子どもの両端に座った両親が、盛んに後ろを振り向いて、余所の子を叱り、
自分の子どもの静かな観劇環境を守ろうとするのも、それもまた、親の愛なのだよな、
と思い。
また、役者の一挙手一投足に反応してしまう子どもたちの為に、前の人に頭を下げる自分の行動もまた、親の愛によるのだよな、
などと、思った。
そして、子どもらは皆、こうした場で狂言を観劇するとともに、
自分のために、余所の子どもを叱ってくれる親や、
自分のために、余所の親に頭を下げる親を
観ているんだな、
と彼ら4人のまっすぐな視線を感じながら、考えていた。
親子観劇会は、子が親を鑑賞する場でもあったのか…。
最近、SNS上でも、子どもの公共の場でのマナーについて、議論が交わされることが多い。
自分は、公共の場でのマナーについて、子どもらに随分厳しくしているが、
時に、限界を感じることもある。
公共の場で、子どもを野放しにするべきではない、と思う一方で
それでも、状況によって多少は子どもらしい言動を、大目に見てもらいたい、とも願う。
厳しくマナーを守らせるべし、べし!
と鼻息荒く注意しながら、よそ様にお叱りを受けて、
有難く思いつつ凹む…、
揺れる今のこの自分を、その振れ幅を
自分が子育てを卒業した時にも
覚えていたい。
子育てにまつわる、色んなことと同様に、
今は、答えがでないから・・・。