いじめにあうのは「弱い子」。

多くの人は、そうイメージしているだろう。

そのイメージに縛られ、いじめられても声を上げられない子どもが少なくない。

息子の場合も、昨年、校内で暴力を受けた際に「いじめ」と名の付く支援や調査を非常に嫌がった。

致死レベル（と医師が診断した）の暴力を受けてさえ、それである。

「いじめ」られた自分、を受け入れるのは小学生男子のプライドが大きく傷つくようだった。

子どもは大人が思うより自尊心が傷つきやすい。

学級や友達グループという小さなコミュニティーを全世界のように捉えている場合もある。

息子の場合は、単発の暴力被害だったし、
長年いじめられている友達を庇ったことへの逆恨みでやられたのだという自負もあったかもしれない。

ていぎ

多くの人々の働きかけで、教育委員会が
「いじめ第三者調査委員会」を立ち上げた時

本人に

「被害を受けたのは、
あんたが弱虫だというのが原因ではない。

「いじめ」の定義は、「弱虫」をいじめることではない。

「いじめ」の定義は、他人を攻撃して傷つけることだ。」

と教えた。

「いじめ」られたことを受け入れると
それを助けようとする機関や仕組みに
繋がることができる。

一人で背負わなくてよくなるのだ。

それによって、多くの子どもが
心理的に肉体的に救われるチャンスが増える。

時には命を救うこともできるかもしれない。

今、「いじめ」の定義は弱い者をいじめることではない。

「弱い」とか「強い」とか関係ない。

平成18年の調査から、
「いじめの定義」は

「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」

とされている。

自責

校内外の様々な人の話を聞く機会があった。

いじめられたのは
自分が「弱虫」なのが原因だ
と自分を責める子ども。

いじめられるような
「弱さ」を持った子に育てた
と自分を責める母親。

その数は少なくない。

「いじめ」られたからといって
自分を「弱いもの」認定しなくていいのだ。

弱さも強さも関係ない、攻撃されただけ。

屁理屈

何にもない時には、

単なる屁理屈に聞こえるだろう。

でも、
突然、攻撃されて
心理的に追い詰められた時

自分を責める必要がないことは
大きな力になる。

特に子どもには。

だから、頭の片隅に覚えていてほしい。

「いじめ」にあうのは
「弱い子」だからじゃないよ。

だから、躊躇せず

その攻撃から逃げよう。

躊躇せず

助けを求めていい。

いざという時、
そう声をかけられるよう
頭の片隅に覚えておこう。

現在、文科省は「いじめ」の定義について
更に検討を重ねているところだという。

救われる人が増える方向に
定義が深化していくことを
祈りたい。

参考

以下に「いじめ」の定義「これまで」と「現在」を文部科学省のホームページより抜粋し記載する。

【これまでの定義】
この調査において「いじめ」とは、
「(1) 自分より弱い者に対して一方的に、
(2) 身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、
(3) 相手が深刻な苦痛を感じているもの。
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。」
とする。
なお、個々の行為がいじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと。

【新定義】（平成18年度間の調査より）
本調査において個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。

「いじめ」とは、
「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」
とする。

なお、起こった場所は学校の内外を問わない。

（注1）「いじめられた児童生徒の立場に立って」とは、いじめられたとする児童生徒の気持ちを重視することである。
（注2）「一定の人間関係のある者」とは、学校の内外を問わず、例えば、同じ学校・学級や部活動の者、当該児童生徒が関わっている仲間や集団（グループ）など、当該児童生徒と何らかの人間関係のある者を指す。
（注3） 「攻撃」とは、「仲間はずれ」や「集団による無視」など直接的にかかわるものではないが、心理的な圧迫などで相手に苦痛を与えるものも含む。
（注4）「物理的な攻撃」とは、身体的な攻撃のほか、金品をたかられたり、隠されたりすることなどを意味する。
（注5）けんか等を除く。

参照
いじめの定義（文部科学省）

いじめの定義の変遷