無縁でいたいなら知る 『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』by西原理恵子
正面から歩いてきた
二十代位の男性が
「やあ、久しぶり!」といって
胸をつかんだ。
学生時代の本屋での出来事だ。
私は驚きながらも
「あの人誰だっけ?」
と考えた。
すぐに「あんな人知らないや、ってか
あれ、痴漢じゃないかー!」
と気づいたのだが
その時には相手の男は
とっくに立ち去っていた。
タイムラグ
胸をつかまれただけなら
即「ぎゃー、何すんのー!」
と言ったのだろうが
先に笑顔で「久しぶり!」と言われたので
そちらを頭が処理している間に
「痴漢にあった」という認識が遅れた。
マルチタスク出来ない人間といえばそれまでだけど…。
これは
「お前のため~」とか「愛している~」
という言葉が先にあるために
「DVに遭っている」という認識が遅れがちで
逃げられなくなる構造と
似ているな、と思った。
私はDV被害にあったことはないけれど
誰にでも
起こりうることなのではないか、と。
知っておく
最近、話題になっていたこの本を
自分の机の周りにころがしておいたら
案の定、長女(中1)が釣れた。
女の子が、何にも依存せず自立して生きていくことの
大切さを愛情いっぱい説いている本である。
著者は
男が女を殴る蹴るが当たり前の
家庭だらけの環境で過ごした子ども時代や
DV夫に苦しんだ結婚生活についても生々しく書いている。
読み終わった娘が
「周りにそういうことを
聞いたことも見たこともないから
何かよくわからないなー」
と言っていたが
今、そうしたものと無縁であることは
ラッキーなことだ。
けれど
これからも無縁でありたいなら
やはり、誰しもそういう事がありうるし
そういう時は
即逃げねばならぬ、という知識を
持っている必要があるだろう。
無縁でありたいなら
無縁であるうちに
仕入れる必要がある知識というのがある。