ファミレスでは、ジュースだけを見て真っ直ぐ帰ること

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photo credit: ideacreamanuelaPps via photo pin cc

ジュースを飲みながら、上目づかいに天井をじっと見る息子(6)。
思わず
「あれは、イタリアの教会の天井画を真似したんだよ、まね、まね。」
と話しかけ視線をそらさせてしまった。
近所のイタリアンファミレス。
ミケランジェロの絵を初めて知る場所がここか…。

〈答え合わせ〉
いつか、システィーナ礼拝堂へ行った時
「ママ~、あそこのファミレスにあった絵があるよ~」
と言われませんように…と小さく祈らずにはいられなかった。
彼が、本物を見たとき、
知っているものを確認する答え合わせのような気持ちに
ならないといいな、と思った。
私が、中学三年の時、出された修学旅行の事前調査の宿題。
初の京都に張り切った私は、
金閣寺、銀閣寺などの歴史を調べ、旅行会社のパンフレットから
きれいな写真を切り抜いて貼り付けた。
事典から移した歴史だけじゃなくて、カラフルに写真を貼ったファイルを
得意げに先生に提出したら
「写真は、いらない。行く前に余計なことするな。」と
怒られた。
私は、不満いっぱいだったけれど、
京都へ行って、先生の言わんとすることの意味が少しわかった。
せっかくの、初めての場所の初めての景色が、初めてっぽくなかったから・・・。

〈罠〉
本物との出会いの感動を薄める罠が、そこかしこにある現代社会、情報過多な環境..
日常生活の中の、ささやかな感動も
ある日、本物に出会って圧倒されるような、圧倒的な感動も
両方、味わいたい。
両方、子どもに味あわせてあげたい。
そばにいる人たちと、一緒に味わいたい。
そんな欲張りをかなえる方法を模索している。
今はまだ、
足元の罠をそっとよけながら、おそるおそる歩き始めたばかりだけれど。