「ママって天才!」でいこう
「うちのママって天才なんだー。だって、うさぎリンゴ作れるんだよ!」
仕切りの低い保育園のトイレ。
娘の隣で用を足しながら女の子が、私に向かって話しかけた。
とてもにこやかに、とても誇らしげに。
〈暗い母〉
どどどーーーん。。。
転園したばかりでナーバスな娘の希望を叶えようと、
必死にプリンセスのキャラ弁を作成し、見事玉砕。
人魚のアリエルの予定が、赤毛のおばちゃんになり、しょぼーーんとしていた私。
「ちっ、保育園母にキャラ弁っつーのが無謀だったんだよ」
「まつ毛用の海苔を切貼りするキャラ弁用のはさみとピンセットが足りなかったんだな・・・」
「準備も足りない、時間も足りない、いろいろ足りなかった、次回こそ・・・」
うだうだ反省していた寝不足の私に、トイレでの一撃。
〈しあげ調味料〉
遠足の弁当に、足りなかったのは、はさみでもピンセットでもなく、
「ママは天才!」という魔法の調味料だったのだ・・・。
うさぎリンゴでいいんだよ。
愛情かけたことを誇った母の、魔法の調味料をひとふりすれば、
きっと赤毛のおばちゃん弁当でも・・・。
子どもにとって誇らしいのは、誇れるものを手渡されたという実感だったんだね・・・。
〈しあげ調味料〉
・・・というわけで、新年は
生協の切り餅をトースターでうまく焼けた・・・ママ、天才!
この餅の、美しいふくらみ具合を見よ!オホホホホ!
と、子どもらに迫っている。
子どもらの「また、ママ何かオカシくなってる・・・」というつぶやきになどめげずに、
さぁ、今年も信じたものを押し付けて、嫌がられながら
「ママって天才!」でいこう!
だはははは。